流星と昴の日本神話
日本神話に星の神・神話は少ないと言われているが、実際は星宮神社、星神社、速星神社など名前に星が付く神社は多く、その祭神などを調べると日本神話では様々な星の神・神話が「見立て」(ある物を似た別の物で表現する技法。和歌等で用いる)を用いて語られていることがわかる。
本書では火瓊瓊杵尊、素戔嗚尊、饒速日命、宗像三女神、大物主神、天津甕星、武甕槌神、経津主神、建葉槌命など多くの神が流星や昴に由来すること、また次のように解釈できることを示す。
・流星(火球)は天降る神が依り憑く星、流星は昴から来る、という考え方があった。
・五百箇磐石、五百箇御統、天岩戸(日食・月食・流星を発生させる天の穴)は昴。
・スサノオの剣、イザナキの剣は「からすき星(オリオン座の三つ星の和名)」。
・神名中の速は流星の速さ、櫛・甕は流星(火球)、玉・火・石・磐は星の意。
・「唾の神」速玉之男は流星の神、「掃の神」泉津事解之男は彗星(掃星)の神。
・大日孁貴は「大いなる昼の女神」、月読尊は「月夜の神」の意。孁に巫女の意は無い。
・宵の明星の別名「ゆうつづ」は「夕の神」の意。ツツ、ツヅは星の意ではない。
・御食津神の名に付くウカ、ウケ、オオゲは「大きな器」の意。食物の意ではない。
・水神の名に付くオカミは「大きな器の神=大きな雲の神」、ミツハは「水の羽=雲」。
・天降る神・剣・鏡の名に付くフツは「降る神」の意。「物を断ち切る音」ではない。