からすき星と昴
からすき星と昴
Adapted from "Orion, Taurus and Pleiades"
by Panda~thwiki, used under CC BY 4.0

流星と昴の日本神話

 

日本神話に星の神・星の神話は少ないと言われている。

しかし、星宮(ほしのみや)神社、(ほし)神社、速星(はやほし)神社など名前に星が付く神社は多い。

その祭神を調べてゆくと、日本神話では様々な星の神・星の神話が、ある物をそれと似た別の物で示す「見立て」を用いて語られていることがわかる。

本書は日本神話の多くの神が流星や(すばる)に由来することや、次のように解釈できることを示す。

 

・日本神話には「天の川・からすき星・(すばる)・流星」が全て登場する神話が三つある。

・スサノオやイザナキの剣は「からすき星」。五百箇御統(いおつのみすまる)五百箇磐石(いおついわむら)天岩戸(あまのいわと)は「(すばる)」。

(ほし)の語源は「火石(ほいし)」。流星は「天降る神が()()く星」「(すばる)から来る」と考えられた。

・神名中の(ハヤ)は「流星の速さ」、(クシ)(ミカ)は「流星(火球)」、(タマ)(ヒ、ホ)(イシ)(イワ)は「星」。

(つば)の神・速玉之男(ハヤタマノオ)は「神の(つば)=流星」。(ははき)の神・泉津事解之男(ヨモツコトサカノオ)は「掃星(ははきぼし)=彗星」。

大日孁貴(オオヒルメノムチ)は「大いなる昼の女神」、月読(ツクヨミ)尊は「月夜(つくよ)の神」の意。孁に巫女の意は無い。

(よい)明星(みょうじょう)の別名「ゆうつづ」は「(ゆう)の神」の意。ツツ、ツヅは星の意ではない。

御食津神(みけつかみ)の名に付くオオゲ、ウケ、ウカは「大きな(うつわ)」の意。食物の意ではない。

・水神の名に付くオカミは「大きな(うつわ)の神=大きな雲の神」、ミツハは「水の羽=雲」。

・天降る神・剣・鏡の名に付くフツは「()る神=流星」の意。「物を断つ音」ではない。