流星と昴の日本神話
速の章

立速男命

天降り松の樹の上にいたが賀毘礼之高峯(かびれのたかみね)に移った天神(あまつかみ)。別名の速経和気(ハヤフワケ)命は「速く降る神」の意。

 

賀毘礼之高峯(かびれのたかみね)天神(あまつかみ)

立速男(タチハヤオ)命(タチハヤオ)は『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』(七一七~七二四年頃成立)久慈郡(くじのこおり)の条に登場する神で、別名、速経和気(ハヤフワケ)命とも言う。

賀毘礼之高峯(かびれのたかみね)に鎮座する天神(あまつかみ)で、元は天より降って松沢の松の樹の八俣の上にいたが、樹に向かって大小便する者に祟り、災い・病苦を与えた。その後、朝廷から派遣された片岡大連(かたおかのおおむらじ)による「ここは不浄なので高い山の清浄な場所にご鎮座下さい」という祈りを聞き入れて賀毘礼之高峯(かびれのたかみね)に移ったという。

天降る神であるという点から、流星に由来する神である可能性がある。

 

各文献における名前

・『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』……立速男(タチハヤオ)命、速経和気(ハヤフワケ)

 

神名解釈

別名の速経和気(ハヤフワケ)命(ハヤフワケ)の「フ」は【石の章/補足 フツの意味】で後述するが「降る」の語幹(ごかん)、「ワケ」は神名末尾のパターンと考えられるので、「速く降る神」と解釈できる。

 

まとめ

・立速男命(タチハヤオ)……天降る神

・天降り松の樹の上にいたが賀毘礼之高峯(かびれのたかみね)に移った天神(あまつかみ)

・別名の速経和気(ハヤフワケ)命は「速く降る神」の意。

 

関連ページ

【石の章/補足 フツの意味】……フツの「フ」は「降る」の語幹(ごかん)