流星と昴の日本神話
甕の章

甕布都神

韴霊(フツノミタマ)布都御魂(フツノミタマ))の別名。流星の神・武甕槌(タケミカヅチ)神が天から降した剣。布留(ふる)石上神宮(いそのかみじんぐう)の祭神。

 

武甕槌(タケミカヅチ)神が天から降した剣

甕布都(ミカフツ)神(ミカフツ)は韴霊(フツノミタマ)布都御魂(フツノミタマ))という剣の別名であり、佐士布都(サジフツ)神とも言う。武甕槌(タケミカヅチ)神が天降って葦原中国(あしはらのなかつくに)を平定する際に使用した剣とされる。またその後、武甕槌(タケミカヅチ)神は神武(じんむ)天皇への助けとして、自らが天降る代わりにこの剣を天から降したとされている。

前項で述べたように武甕槌(タケミカヅチ)神は「五百箇磐石(いおついわむら)湯津石村(ゆついわむら))=(すばる)」から生まれた神であり、「流星は(すばる)から来る」という考え方があったと思われるので、(すばる)から生まれた流星の神と考えられる。

その流星の神が自身の代わりとして天から降した剣というのも、つまりは流星を天から地上へ落ちる剣に見立てたものと考えられる。

 

布留(ふる)石上神宮(いそのかみじんぐう)の祭神

この韴霊(フツノミタマ)布都御魂(フツノミタマ))は石上神宮(いそのかみじんぐう)(奈良県天理市布留町(てんりしふるちょう)384)にあるとされており、石上神宮(いそのかみじんぐう)の主祭神として(まつ)られている。石上神宮(いそのかみじんぐう)布留山(ふるやま)の高台に鎮座し石上振神宮(いそのかみふるじんぐう)とも言う。

この「布留(ふる)」「(ふる)」はつまり「降る」の意と考えられる。韴霊(フツノミタマ)布都御魂(フツノミタマ))が「降る石=流星」の神であることを裏付ける名と言える。

 

各文献における名前

・『古事記』……佐士布都(サジフツ)神、甕布都(ミカフツ)神、布都御魂(フツノミタマ)

・『日本書紀』……韴霊(フツノミタマ)

・『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』……韴霊(フツノミタマ)韴霊剣刀(フツノミタマノツルギ)布都主神魂刀(フツヌシノミタマノツルギ)佐士布都(サジフツ)建布都(タケフツ)豊布都(トヨフツ)神、布都主剣(フツヌシノツルギ)

 

前項で述べたように『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』では、武甕槌(タケミカヅチ)神(別名、建布都(タケフツ)神、豊布都(トヨフツ)神)と武甕槌(タケミカヅチ)神の剣である韴霊(フツノミタマ)を同神とみなしているようである。

 

神名解釈

神名解釈については【石の章/補足 フツの意味】で後述する。

 

まとめ

・甕布都神(ミカフツ)……流星の神

韴霊(フツノミタマ)布都御魂(フツノミタマ))の別名。

【甕の章/武甕槌神】で前述した流星の神・武甕槌(タケミカヅチ)神が自身の代わりとして天から降した剣。つまり流星を天から地上へ落ちる剣に見立てたもの。

石上神宮(いそのかみじんぐう)の主祭神。石上神宮(いそのかみじんぐう)布留山(ふるやま)の高台に鎮座し石上振神宮(いそのかみふるじんぐう)とも言う。

布留(ふる)(ふる)は「降る」の意。「降る石=流星」の神であることを裏付ける。

 

関連ページ

【石の章/補足 フツの意味】……韴霊(フツノミタマ)布都御魂(フツノミタマ))、甕布都(ミカフツ)神、佐士布都(サジフツ)神の神名解釈。