流星と昴の日本神話
櫛の章

櫛御気野命

素戔嗚(スサノオ)尊の別名。日の神、月の神と共に生まれた天降る速い星の神=流星の神。

 

素戔嗚(スサノオ)尊の別名

櫛御気野(クシミケノ)命(クシミケノ)は島根県の熊野大社(島根県松江市八雲町熊野(まつえしやくもちょうくまの)2451)などで(まつ)られている神である。

延喜式(えんぎしき)』(九二七年成立)の巻第八に収録されている祝詞(のりと)出雲国造神賀詞(いずものくにのみやつこのかむよごと)」において「伊射那伎乃日真名子(イザナキノヒマナゴ)加夫呂伎(カブロキ)熊野大神櫛御気野(クシミケノ)命」と記されている。「かぶろき」とは「神。また、祖神。特にその男神をいう」(『日本国語大辞典 第二版』小学館、二〇〇〇~二〇〇二年)。

出雲国風土記(いずものくにふどき)』(七三三年成立)では「伊弉奈枳乃麻奈子(イザナキノマナゴ)坐熊野(クマノニマス)加武呂乃命(カムロノミコト)」「熊野大神」「熊野大神命」といった名前で登場している。「まなご」とは「かわいい子供。いとし子」(『古語大辞典』小学館、一九八三年)を意味する。

先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』(平安時代初期成立)の陰陽本紀において、素戔嗚(スサノオ)尊は出雲国(いずものくに)の熊野・杵築(きづき)の神の宮(現在の熊野大社と出雲大社)にいると記されている。

この記述から、熊野大社の祭神で伊奘諾(イザナキ)尊のいとし子である男神・櫛御気野(クシミケノ)命が、伊奘諾(イザナキ)尊の三貴子(天照(アマテラス)大神、月読(ツクヨミ)尊、素戔嗚(スサノオ)尊)の一柱である男神・素戔嗚(スサノオ)尊とみなされていることがわかる。

素戔嗚(スサノオ)尊は【速の章/速素戔嗚尊】で前述したように、日の神、月の神と共に生まれた星の神、天を追放され天降る神であり、天降る速い星の神=流星の神と考えられる。

 

神名解釈

櫛御気野(クシミケノ)命の神名解釈については【甕の章/櫛御気野命】で後述する。

 

まとめ

・櫛御気野命(クシミケノ)……流星の神

素戔嗚(スサノオ)尊の別名。【速の章/速素戔嗚尊】で前述した流星の神。