流星と昴の日本神話
櫛の章

天櫛玉命

別名、伊勢都彦(イセツヒコ)命など。三十二人の防衛(ふせぎまもり)の一柱で天降る神。夜中に日の様に輝き東へ去った神。

 

三十二人の防衛(ふせぎまもり)の一柱

天櫛玉(アマノクシタマ)命(アマノクシタマ)は『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』天神本紀において鴨県主(かものあがたぬし)らの祖とされる神である。【速の章/饒速日命】で前述した三十二人の防衛(ふせぎまもり)の一柱で天降る神である。

天降る神であるという点から、流星に由来する神である可能性がある。

 

夜中に日の様に輝き東へ去った神

また、『伊勢国風土記(いせのくにふどき)逸文(いつぶん)では別名、出雲建子(イズモタケコ)命、伊勢都彦(イセツヒコ)命(伊勢津彦(イセツヒコ)神)とされる。元は伊勢国(いせのくに)にいたが、神武(じんむ)天皇の命で伊勢国(いせのくに)の平定に来た天日別(アマノヒワケ)命に殺されそうになったため伊勢国(いせのくに)を献上し、夜中に大風を起こし、日の様に輝き、波に乗り東へ去ったという。

これは強風で波が高い夜に出現し、海上を東へ去った火球の描写と考えられる。これにより、天櫛玉(アマノクシタマ)命が流星の神であることが裏付けられる。

 

各文献における名前

・『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』……伊勢都比古(イセツヒコ)

・『伊勢国風土記(いせのくにふどき)逸文(いつぶん)……伊勢津彦(イセツヒコ)伊勢津彦(イセツヒコ)神、出雲建子(イズモタケコ)命、伊勢都彦(イセツヒコ)命、天櫛玉(アマノクシタマ)

・『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』……櫛玉(クシタマ)命、天櫛玉(アマノクシタマ)

・『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』……天櫛玉(アマノクシタマ)

 

伊勢国風土記(いせのくにふどき)逸文(いつぶん)では出雲の神の子、『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』では伊和(イワ)大神の子、『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』では高御魂(タカミムスヒ)命(高魂(タカミムスヒ)命)の子とされる。

 

神名解釈

神名解釈については【玉の章/天櫛玉命】で後述する。

 

まとめ

・天櫛玉命(アマノクシタマ)……流星の神

・別名、出雲建子(イズモタケコ)命、伊勢都彦(イセツヒコ)命(伊勢津彦(イセツヒコ)神)。

【速の章/饒速日命】で前述した三十二人の防衛(ふせぎまもり)の一柱で天降る神。

・夜中に大風を起こし、日の様に輝き、波に乗り東へ去った。

・これは強風で波が高い夜に出現し、海上を東へ去った火球の描写と考えられる。

・これにより流星の神であることが裏付けられる。

 

関連ページ

【玉の章/天櫛玉命】……天櫛玉(アマノクシタマ)命の神名解釈。