流星と昴の日本神話
玉の章

補足 アマノヤチマタの意味

オリオン座の三つ星中央の星から八方の星へのライン。その一本は「天岩戸=(すばる)」につながる。

 

天の八つの分かれ道

火瓊瓊杵(ホノニニギ)尊が天降る際に、その通り道の先駆(さきばらい)をする者が引き返してきて、アマノヤチマタに一柱の神がいることを報告したという。

 

(書き下し文)

(すで)にして(まさ)(くだ)りまさむとする(ほと)に、先駆者(さきばらひ)(かへ)りて(まを)さく、「一神(ひとりのかみ)()り。天八達之衢(あまのやちまた)()り。()(はな)(なが)七咫(ななあた)(そびら)の長さ七尺余(ななさかあま)り。七尋(ななひろ)()ふべし。(また)(くち)(しり)明耀(あかりて)れり。()八咫鏡(やたかがみ)(ごと)くにして、赩然(てりかかやけること)赤酸醤(あかかがち)()れり」とまをす。

(現代語訳)

こういう次第で皇孫が(くだ)られようとする間に、先駆の者が引き返して来て、「一人の神がいます。天八達之衢(あまのやちまた)におります。その鼻の長さは七(あた)、座高は七(さか)余り。身長はまさに七(ひろ)というべきでしょう。また口・尻が明るく光っています。眼は八咫鏡(やたかがみ)のようであり、照り輝いているさまは赤い酸醤(ほおずき)のようです」と申し上げた。

《出典》小島憲之・直木孝次郎・西宮一民・蔵中進・毛利正守校注/訳『新編日本古典文学全集2 日本書紀1』(小学館、一九九四年、一三〇~一三一頁)

 

天鈿女(アマノウズメ)命に何者か問わせた所、火瓊瓊杵(ホノニニギ)尊を迎えに来た猿田彦(サルタヒコ)大神という神であったとされる。

では、このアマノヤチマタとは何を意味しているのか。

アマノヤチマタは『古事記』では「天之八衢」、『日本書紀』神代下第九段一書第一では「天八達之衢」と表記する。「(ちまた)」は「道の分かれる所」(『時代別国語大辞典 上代編』三省堂)の意であるため「天の八つの分かれ道」ということになる。

【速の章/補足 天岩戸、天安河の河上の意味】で前述したように火瓊瓊杵(ホノニニギ)尊は「天岩戸=(すばる)」から天降るので、その通り道にある八つの分かれ道の一本は(すばる)につながる道ということになる。

(すばる)はオリオン座の三つ星のほぼ延長線上にあるので、この延長線がその(すばる)につながる道と考えられる。つまりアマノヤチマタとは、オリオン座の三つ星中央の星から八方の星へのラインを「天の八つの分かれ道」に見立てたものと考えられる。

 

アマノヤチマタと天岩戸
アマノヤチマタと天岩戸
Adapted from "Orion, Taurus and Pleiades"
by Panda~thwiki, used under CC BY 4.0

まとめ

火瓊瓊杵(ホノニニギ)尊は「天岩戸=(すばる)」から天降るので、その通り道にある「アマノヤチマタ=天の八つの分かれ道」の一本は(すばる)につながる道ということになる。

オリオン座の三つ星の延長線が、この(すばる)につながる道と考えられるので、アマノヤチマタとはオリオン座の三つ星中央の星から八方の星へのライン。