流星と昴の日本神話
火の章

穂屋姫命

流星の神・天香語山(アマノカゴヤマ)命の異母妹で妻。流星の神・饒速日(ニギハヤヒ)命の子。

 

天香語山(アマノカゴヤマ)命の異母妹で妻

穂屋姫(ホヤヒメ)命(ヤヒメ)は『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』天孫本紀において、天香語山(アマノカゴヤマ)命の異母妹で妻、天村雲(アマノムラクモ)命(別名、天五多底(アマノイタテ))の母とされている。

 

天香語山(アマノカゴヤマ)命、天香山(アマノカグヤマ)

天香語山(アマノカゴヤマ)命は『日本書紀』神代下第九段一書第六では天香山(アマノカグヤマ)と言い、天火明(アマノホアカリ)命の子、尾張連(おわりのむらじ)らの遠祖(とおつおや)とされている。

【櫛の章/櫛真智命】で前述したように天香山(アマノカグヤマ)は流星の神と考えられる。

先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』天神本紀においても天香語山(アマノカゴヤマ)命は尾張連(おわりのむらじ)らの祖とされており、【速の章/饒速日命】で前述した三十二人の防衛(ふせぎまもり)の一柱で天降る神である。『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』では天火明(アマノホアカリ)命と饒速日(ニギハヤヒ)命を同神とみなしているため、天香語山(アマノカゴヤマ)命は饒速日(ニギハヤヒ)命の子とされている。

新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』では天賀吾山(アマノカゴヤマ)命、天香山(アマノカグヤマ)命と言い、天火明(アマノホアカリ)命(火明(ホアカリ)命)の子、尾張連(おわりのむらじ)らの祖とされている。

 

各文献における名前

・『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』……穂屋姫(ホヤヒメ)

 

神名解釈

前述したように『先代旧事本紀(せんだいくじほんぎ)』では天香語山(アマノカゴヤマ)命は饒速日(ニギハヤヒ)命の子とされているので、天香語山(アマノカゴヤマ)命の異母妹の穂屋姫(ホヤヒメ)命も饒速日(ニギハヤヒ)命の子ということになる。

穂屋姫(ホヤヒメ)命が本章冒頭で述べた「ホ」が付く流星の神の名を持つのは、【櫛の章/櫛真智命】で前述した流星の神・天香山(アマノカグヤマ)天香語山(アマノカゴヤマ)命)の異母妹で妻、【速の章/饒速日命】で前述した流星の神・饒速日(ニギハヤヒ)命の子であることなどに由来するものと考えられる。

神名の穂屋姫(ホヤヒメ)命(ホヤヒメ)を解釈すると、「ホ」は本章冒頭で述べたように「星」を「()」に見立てたもの、「ヒメ」は女神の神名末尾のパターンと考えられるので、「星の矢の女神」と解釈できる。「星の矢」とはつまり流星のことと考えられる。

 

まとめ

・穂屋姫命(ヤヒメ)……流星の神の妹・妻・子

【櫛の章/櫛真智命】で前述した流星の神・天香山(アマノカグヤマ)天香語山(アマノカゴヤマ)命)の異母妹で妻。

【速の章/饒速日命】で前述した流星の神・饒速日(ニギハヤヒ)命の子。

 

関連ページ

【火の章/補足 天羽羽矢、天之加久矢、天真鹿児矢の意味】……天香語山(アマノカゴヤマ)命の神名解釈。