流星と昴の日本神話
火の章

補足 天羽々斬の意味

素戔嗚(スサノオ)尊の剣。からすき星を(すばる)から来る「天の大蛇(はは)=流星」を斬る剣に見立てた名前。

 

流星を斬る剣

古語拾遺(こごしゅうい)』では素戔嗚(スサノオ)尊が八岐大蛇(やまたのおろち)を斬った剣の名は「天羽々斬(あまのははきり)」とされており、「古語に大蛇(おろち)羽々(はは)と言う」とも記されている。「天羽々斬(あまのははきり)=天の大蛇(はは)斬り」ということになる。

 

(書き下し文)

素戔嗚神、(あめ)より出雲国の()川上(かはかみ)降到(くだ)ります。天十握剣(あめのとつかつるぎ)〔其の名は天羽々斬(あめのははきり)といふ。今、石上神宮(いそのかみのかみのみや)に在り。古語に、大蛇(をろち)羽々(はは)と謂ふ。言ふところは蛇を斬るなり。〕を以て、八岐大蛇(やまたのをろち)を斬りたまふ。

《出典》斎部広成撰・西宮一民校注『古語拾遺』(岩波書店、一九八五年、二三~二四頁)

 

【櫛の章/倭大物主櫛𤭖玉命】で前述した大物主(オオモノヌシ)神や【火の章/肥長比売】で前述した肥長比売(ヒナガヒメ)のように、尾を引く流星は尾を持つ蛇に見立てられている。このため「天の大蛇(はは)」もまた同様に「流星」の意と考えられる。「天羽々斬(あまのははきり)=天の大蛇(はは)斬り=流星斬り」ということになる。

【速の章/補足 アマテラスとスサノオの誓約の意味】で前述したように素戔嗚(スサノオ)尊の剣(十握剣(とつかのつるぎ)蛇韓鋤之剣(おろちのからすきのつるぎ))は「からすき星(オリオン座の三つ星の和名)」を意味する。このため、同じく素戔嗚(スサノオ)尊の剣である天羽々斬(あまのははきり)もまた、からすき星と考えられる。

この三つ星のほぼ延長線上に(すばる)があるので、天羽々斬(あまのははきり)(すばる)に切っ先を向けていると言える。

【速の章/正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊】で前述したように「流星は(すばる)から来る」という考え方があったと思われる。つまり「天羽々斬(あまのははきり)=天の大蛇(はは)斬り=流星斬り」とは、からすき星を(すばる)から来る「天の大蛇(はは)=流星」を斬る剣に見立てた名前と考えられる。

 

天羽々斬
天羽々斬
Adapted from "Orion, Taurus and Pleiades"
by Panda~thwiki, used under CC BY 4.0

まとめ

古語拾遺(こごしゅうい)』では素戔嗚(スサノオ)尊の剣は天羽々斬(あまのははきり)。「古語に大蛇(おろち)羽々(はは)と言う」と記されている。

大物主(オオモノヌシ)神や肥長比売(ヒナガヒメ)のように尾を引く流星は蛇に見立てられるので「天の大蛇(はは)=流星」。

【速の章/補足 アマテラスとスサノオの誓約の意味】で前述したように素戔嗚(スサノオ)尊の剣は「からすき星(オリオン座の三つ星の和名)」。この三つ星の剣は(すばる)に切っ先を向けている。

天羽々斬(あまのははきり)とは、からすき星を(すばる)から来る「天の大蛇(はは)=流星」を斬る剣に見立てた名前。

 

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