火瓊瓊杵尊
天降る星の神=流星の神。星宮神社の祭神。
天降る星の神
火瓊瓊杵尊(ホノニニギ)は、天照大神と素戔嗚尊の誓約の際に五百箇御統から生まれた天忍穂耳尊の子であり、地上へ天降って天皇家の祖となったとされている。
【序文】で述べたように星宮神社で祀られている星の神であり、天降る神でもあるので、天降る星の神=流星の神と考えられる。
また、【速の章/補足 天岩戸、天安河の河上の意味】で前述したように、高皇産霊尊が天岩戸(昴)を引き開けて火瓊瓊杵尊を天降らせたという神話もある。
星宮神社の祭神
【序文】で述べたように栃木県には百六十社以上の星宮神社があるが、火瓊瓊杵尊は次の星宮神社で祀られている。
・星宮神社(栃木県足利市常見町1―25―6)
・星宮神社(栃木県足利市梁田町495)
・星宮神社(栃木県足利市山川町243―1)
・星宮神社(栃木県宇都宮市鐺山町128)
・星宮神社(栃木県佐野市大蔵町2928)
・星宮神社(栃木県佐野市栄町10)
・星宮神社(栃木県佐野市村上町880)
・星宮神社(栃木県佐野市免鳥町742)
・星宮神社(栃木県栃木市岩舟町静858)
・星宮神社(栃木県栃木市藤岡町大前3374―1)
・星宮神社(栃木県真岡市下籠谷308)
・星宮神社(栃木県真岡市東大島1665)
各文献における名前
・『古事記』……天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命、日子番能邇邇芸命、天津日子番能邇邇芸命、天津日高日子番能邇邇芸能命
・『日本書紀』……天津彦彦火瓊瓊杵尊、天津彦火瓊瓊杵尊、天津彦国光彦火瓊瓊杵尊、天津彦根火瓊瓊杵根尊、火瓊瓊杵尊、天国饒石彦火瓊瓊杵尊、天之杵火火置瀬尊、天杵瀬命、天饒石国饒石天津彦火瓊瓊杵尊、彦火瓊瓊杵尊
・『伊豆国風土記』逸文……瓊々杵尊
・『日向国風土記』逸文……天津彦々火瓊々杵尊
・『古語拾遺』……天津彦尊
・『新撰姓氏録』……天津彦火瓊瓊杵尊
・『先代旧事本紀』……天津彦彦火瓊瓊杵尊、天饒石国饒石天津彦彦火瓊瓊杵尊、天津彦火瓊瓊杵尊、天饒石国饒石尊、彦火瓊瓊杵尊
神名解釈
神名の火瓊瓊杵尊(ホノニニギ)を解釈すると、
・「火」は本章冒頭で前述したように「星」を「火」に見立てたもの。
・「瓊」は「玉の類」(『時代別国語大辞典 上代編』三省堂、一九六七年)を意味するので、【玉の章】で前述したように「星」を「玉」に見立てたもの。
・「ニギ」は【速の章/饒速日命】で前述した「饒」と同じく「豊か」の意。
これにより「星の豊かな神」と解釈できる。
別名の天津彦国光彦火瓊瓊杵尊(アマツヒコクニテルヒコホノニニギ)を解釈すると、
・「天」はそのまま「天」の意。
・「ツ」は古語で「〜の」を意味する連体助詞。
・「ヒコ」は男神の神名末尾のパターン。
・「国」は古語で「(天に対して)地」(『古語大辞典』小学館、一九八三年)の意。
・「テル」は「照る」の意。
これにより「天の男神、地に照る男神、星の豊かな神」と解釈できる。
もう一つの別名、天饒石国饒石天津彦火瓊瓊杵尊の神名解釈については、【石の章/天饒石国饒石天津彦火瓊瓊杵尊】で後述する。
まとめ
・火瓊瓊杵尊(ホノニニギ)……流星の神
・【序文】で述べた流星の神。星宮神社で祀られている。
関連ページ
・【速の章/正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊】……火瓊瓊杵尊の父。
・【火の章/火瓊瓊杵尊の兄や子】……火瓊瓊杵尊の兄や子。